コロナウイルスが流行してから、自宅時間が増えました。また、外に出れない代わりに筋トレを始めたという方も多いはず。ところが、健康のために始めたはずの筋トレが、痛風のリスクを高めてしまうことは、あまり知られていません。
通風は30~40代が多く発症
痛風は、「中高年の病気」と思うかもしれませんが、40歳代以下の年代での発症も増えています。さらにその背景にある高尿酸血症は、30~40代の男性が最も多く発症しています。
通風とは、「尿酸」がとは、細胞内の核に含まれるプリン体という物質が分解されるときに生じる老廃物です。
それが多すぎてスムーズに尿中に排泄されず、血中濃度が高まってしまったのが「高尿酸血症」。
無酸素運動が原因
筋トレなどの高負荷の無酸素運動は、血中の尿酸値が上がることがあります。高尿酸血症は痛風の原因になるので注意が必要です。
運動時に使われるエネルギー源にATP(アデノシン三リン酸)は、エネルギー産生のために急激に大量に利用されると、代謝が進んでプリン体を作り出します。このプリン体から尿酸が合成されます。
対策しながら健康に!
(1)水分をたくさん摂る
尿酸は水溶性のため、しっかり水分を摂り、尿から尿酸を排泄するようにしましょう。高尿酸血症の人の水分摂取目標量は、1日2リットル以上です。
(2)野菜・海藻の摂取量を増やす
尿はアルカリ性に傾いていた方が、尿酸の排泄量が増加します。尿をアルカリ傾向にする野菜や海藻を積極的に摂りましょう。
(3)乳製品の摂取
牛乳など乳製品に含まれるカゼインは、分解されるとアラニンというアミノ酸ができ、このアラニンが尿酸の排泄を助けます。筋トレ後に牛乳をコップ1杯摂るようにすると良いでしょう。
食事制限よりも筋トレ注意!
プリン体が多い食品を食べ過ぎないことは大切ですが、摂りすぎないよう気を付けていても、筋トレが原因で高尿酸血症になる場合があることを覚えておいてください。
一方、有酸素運動ではATPを使った後、再利用して継続的にエネルギー源として使用するために、プリン体は作られません。つまり尿酸値は上がらず、痛風の原因にはなりません。
良かれと始めた「筋トレ」よりウォーキング!
痛風・高尿酸血症の方の運動としては、筋トレのような無酸素運動より、ジョギングなどの有酸素運動がおすすめ。
また糖質制限食の体重抑制効果は、必然的に脂肪やたんぱく質摂取が増えてしまうので、悪影響を及ぼすリスクがあります。プリン体摂取量は、1日400mg以内。
【まとめ】痛風の人が運動時に注意するべき
水分不足は、血液中の尿酸濃度が上がるので、しっかり水分摂取し尿酸値を下げるようにしましょう。運動中は特に汗の量が増えるので、意識して飲む必要があります。2リットル以上の水摂取を目標にしてください。
運動時は、インターバルを3分以上にし、トレーニング時間を30分程度にする。しっかり休息をとり、トレーニングは短時間にして血中の乳酸濃度をできるだけ下げるように努力してください。
しっかり気を付けるポイントをおさえれば、筋トレを続けることは可能です。むしろ運動を、することのメリットのほうが断然大きいのです。
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